舐めて、と。

 指二本。
 揃えて、口元に差し出されて。

 逆らうことなんて、あり得ない。
 そんな錯覚を起こす。

 何のためのものか、用途明白なそれへ、そろりと舌を伸ばす。
 そうっと。
 まるでおずおずと躊躇うかのような仕草は、けれど確信犯の手練れ。
 焦らし煽るための手管だ。
 
 ごく浅く、第一関節までを口中に含み、飴玉のように舌で転がす。
 男に施す愛撫の、明らかな暗喩であり。 
 けれど、男の質量を相手には不可能な、繊細な動きだ。
 
 しばらく指先だけを相手に戯れた後、おもむろに指の付け根まで全体を口に含む。
 小さく口をすぼめて唇で締めつけ、時折強く吸い上げる。
 軽く歯をたてて甘噛み、たっぷりと蜜を馴染ませる。、
 ぴちゃ、と。
 微かに濡れた音が、二人の耳をくすぐる。

 自ら滴を滴らせていると錯誤するほどに、濡らした指を、熱い下で押し返す。
 もういいだろう、と。
 上目づかい、媚薬めいた視線が催促する。

 口の端、名残のように細く糸引く蜜を、惜しむように舐めとって。
 よくできました、と。
 褒美のようなくちづけを一つ。
 軽く、額に落としてやる。

 


 研ぎ澄まされた情欲は、戦にも似た駆け引き。
 指先の、攻防戦だ。



'02.11.01 p.m.09:10




          ぎゃあああああ!!コ、コレ、リクですか九城先生!!っていうか、ss頂いちゃった
           んですねシホったら!!ぎゃああああ!!ヤラしい〜!!ヤラシイ〜!!カッコイイ!


             >お題「捲簾の手(指)にキスをする天蓬」v という
             >とっても可愛らしいものをお願いしてもよろしいでしょうか?

           >ええ、お題はあくまでも手にキスです。
           >冒頭は、ただの誘導尋問(?)ですから、どうぞ、お気になさらずvv


            コレが九城様からのご依頼です。鬼ですね(断言)
          ここでシホからも宣言を。
             誘導尋問、引っかかります!!待ってて下さいませ!  




      ところでこれ、服着てます?